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萬年筆とまほろば

万年筆でくらしを豊かにするブログ。

万年筆との出会い(前編)

diary

万年筆は現代人にとって「よくわからない古い筆記具」

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唐突ですが、あなたはご自身の人生の中で「万年筆」に触れたことがありますか?
万年筆ってそもそも何?という方も多いと思います。
私もそんな人間の一人でした。
万年筆とは、今のボールペンに相当する、1960年頃まで主流だった筆記具のことです。

ごく一部の万年筆愛好家を除けば、万年筆を常用している現代人はおそらく皆無だと思います。
生活必需品でもないし、見たことも触ったこともない。
作家や政治家、大会社の社長が愛用するものという印象で、家族・知人で所持している方を私は知りません。
街の文具店でも、万年筆は私の視界に一度たりとも入ってきたことがありませんでした。
まさにそんな「空気」と同レベルの存在感の薄さ!

作り手の思いや技術が長年に渡って脈々と受け継がれているのに、現代人には全く気づかれることのない存在。
時代の流れに取り残された製品。
ボールペンに比べ、管理が面倒な製品。
勝手なイメージではオジサン臭い製品。
万年筆のイメージは、現代人にとって何だか「よくわからない古い筆記具」となっているのが現状です。

しかし、過去とはいえ一時代を築いた製品であることには変わりなく、
現代においても様々な変化を遂げて生き残っているのです。
万年筆のように、100年以上の歴史を誇る製品はなかなかありません。

私が惹かれたのは「書くこと」、ただこの1点において、最高に楽しくなる道具だということです。
デザインも種類が豊富で飽きないですし、書き味も一本一本異なります。
もし自分に合った最良の一本を見つけられたら、一日中書いていても飽きないので、
イデア出しや情報整理に大活躍することでしょう。

あなたも魅力的な万年筆の世界に足を踏み入れてみませんか?

万年筆との遭遇

万年筆に触れたことのない現代人が、どのような経緯でその存在を知り、手にすることになるのでしょうか。
今まで万年筆など気にしたことのなかった私ですが、半年前ついに入手しました。

私の場合、万年筆ではなくボールペンに関心を寄せたところから始まりました。

↓ 詳しくは次回更新記事:「万年筆との出会い(中編)」参照

fude.hateblo.jp

徐々にボールペンからシャーペンへと興味は移り、書く道具という意味では一級品である万年筆を持つに至りました。
書く行為が快感に変わる道具、それが万年筆なのです。
仕事でアイデアを書き出すのが楽しくなる道具を探していた私にはピッタリとハマりました。
シャーペンほど均一でつまらない線ではなく、ボールペンほど力を入れずに書ける。
万年筆は、ペン先の字幅が始めから決まっているにもかかわらず、線に抑揚がつけられるため、書いた時の感情がそのまま文字に表れるのが面白いです。

線の太さをコントロールする意味では毛筆が最高なのですが、一般人には扱いが難しく、管理も面倒です。
万年筆のメンテナンスは、毛筆ほど面倒ではなく、ペン先を月1回ぬるま湯で洗浄するか、同じインクを補充するだけです。
最近は染料インクが多いので、水に溶けやすく洗浄は容易となっています。
それにインク交換は、科学実験みたいで楽しいですよ。

使い捨てではない、使えば使うほど自分仕様にカスタマイズできる最高の筆記具、それが万年筆の正体です。
手がかかる製品ほど、愛着も湧きますし大事にもします。
万年筆を手にしてみると、無個性な存在ではないことがハッキリとわかります。

私は率直にこう思います。
「なんでこんなにいいモノをみんな使わないのかなあ?」

なぜ現代人は万年筆を使わなくなったのか?

道具には「動」と「静」の性質があります。
「動」は外向きの力が働きやすく、「静」は内向きの力が働きやすい性質を示します。
時代の流れにより、求められるものが「動」と「静」で、振り子のように入れ変わります。

時代が他者優位の場合、「動」の製品が求められます。
例えば、ボールペン、シャーペン

特徴としては

  • 実務重視
  • 貸し借り容易
  • 大量生産
  • 安い
  • 使い捨て
  • 使用者側にこだわり無し
  • 自己表現不要
  • 平凡で均一


一方、時代が自分優位の場合、「静」の製品が求められます。
例えば、万年筆、毛筆

特徴としては

  • 自己満足(他人は他人)
  • 貸し借り困難
  • 限定生産
  • 高い
  • 質重視
  • コレクション
  • 使用者側にこだわりあり
  • 自己表現可能
  • 大胆で芸術的


万年筆は元々、徹底的に自分本位な「静」の道具です。
なぜなら、他人のためではなく、己の手足となるべく追求された筆記具だからです。
長年の使用により、自分自身にのみ、寄り添います。
だから、他人に貸すことができません。

○どんな状況でどのペンを使うのがベストなのか?

  • 書く行為そのものを楽しみたい場合(自分のため)

  →万年筆・毛筆

  • 実務で使用する場合(他人のため)

  →シャーペン・ボールペン

実務重視の現代において、書く行為そのものにスポットライトが当たりにくくなっていることが、万年筆が使われない要因となっています。
職場や学校では、書いた情報が素早く相手に伝わりさえすればよく、
逐一キャップを回す必要がなく、代わりはいくらでもすぐに用意できるノック式のボールペンが重宝されるのもうなずけます。
仮に乱暴に扱って傷が付いたり落としたとしても、精神的ダメージを受けない点やインク漏れのリスクがない点も大きなメリットです。
過去、そんなボールペンの手軽さの前に万年筆は敗北し、私たちの生活から消えてしまいました。

 

格安万年筆の登場

ボールペン以上のメリットが、万年筆に残されているのでしょうか?
正直なところ、職場や学校では、ボールペンに勝る活躍の場が万年筆にはありません。
事実は事実です。
しかし、あなたが自分自身に向き合う場(特に自宅)では存分に効果が発揮されるのです。
例えば、あなたが自分の部屋でゆったりと過ごす時間。
心に余裕を持ち、楽しく自分の文字を見つめ、書きつづる。
ペン習字のような美しい文字、個性丸出しのあなたらしい文字。
どんな文字であっても、指先から伝わる感覚がワクワク感を生み出し、新たな発想を引き出す。
他人に伝えるためだけの味気ない文字ではなく、自分の体内から湧き出てきた、独善的な文字を表面化させる。
そんな時は、ボールペンではなく、あえて万年筆を手に取るのが最適となります。
どんな精神状態でも、文字に個性が表れるからです。

そんな万年筆の面白さを現代人に気づかせた商品があります。
それが最近登場した「格安万年筆」の存在です。

今まで万年筆というと、価格が5,000円以上は当たり前。
高級万年筆では5万円を超えるものも多く、手に入れるのが難しい商品でした。
そんな中、格安万年筆は1,000円以下で買えるものもあり、ハードルが大幅に下がりました。

高品質な格安万年筆が登場したことで、万年筆のよさが改めて見直され始めました。
「静」の性質である万年筆の製品群に、一部「動」が加わってきているのです。

格安万年筆の一例

  • プラチナ万年筆 プレジール
  • パイロット 万年筆 カクノ
  • セーラー万年筆 ふでDEまんねん
  • LAMY(ラミー)サファリ
  • TWSBI(ツイスビー)ECO


万年筆の書く楽しみは享受しつつ、仮に壊れたとしても安いのでまた買い直せばよい、という気軽さが万年筆初心者にウケています。
また、何本も所有することができるため、様々な色のインクを試すのにも一役買っています。

万年筆初心者への間口が広がったことにより、逆に高級万年筆にも光が当たるようになってきています。
高級万年筆にしか採用されていない、18金・21金ペン先を堪能したり、インクや紙との相性を確かめるなど、楽しめる要素がたくさんあることに気づく人が少しずつ増えています。
これも万年筆が長年淘汰されず、残り続けたお陰です。

 

万年筆の今と昔

万年筆の世界は、入り口が極端に狭く、ハマると恐ろしく奥深いものです。
1960年代頃まで、万年筆はポピュラーな筆記具でした。
しかし、その後のボールペンの普及に伴い、次第に生活の表舞台から消えていきました。
現在、万年筆は風化し、砂塵に埋もれ、まさに知る人ぞ知るモノとなってしまいました。

2007年頃、若い女性を中心に静かな万年筆ブームが訪れました。
しかし、私の耳は節穴のようでして、全く気づかずスルーしてしまいました。
万年筆が世間に知れ渡るほどの大きな変動も無いまま、2017年現在に至ります。

ただし、大ブームにはならずとも、インターネットの普及により
万年筆の魅力に気づき始めた若者のファンが少しずつ増えているのも事実です。
ITだけに頼らず、自分の言葉、自分の筆跡で大切な人に思いを伝えたい。
湧き出た自らのアイデアを気持ちよくまとめたい。
そんな願望を代弁するツールとして、万年筆が再評価されつつあるのかもしれません。

もちろん希少性のあるファッションアイテムとしての一面も捨てきれませんが。
インターネットを通じて私の視界に万年筆が入ってきたことも、今後違う形で再燃しつつある前触れではないかと思います。

 

溢れ出る物欲

私自身、万年筆を初めて一本所持してからというもの、購買意欲が旺盛になってしまい、こらえるのが大変でした。
(万年筆のレビューについては今後アップしていきます)
自分に最適な一本を探していたはずが、徐々に本数が増えていきました。
万年筆の増加に比例して、ボトルインクまでもが増える始末。
結果だけを振り返れば自分でも驚くほど買ってしまいましたが、知らないことを調べ、比較し、手に入れようとするプロセスは何よりも楽しいものです。
これほどまでにハマるとは!
万年筆、恐るべし!

この先は話が長くなるので、次回「万年筆との出会い(中編)」に続きます。

fude.hateblo.jp

いそがしい方はお時間がある時にお読み下さい。
もしよろしければ、どうぞお付き合い下さい。

 

【第2回】万年筆との出会い(前編)